
茶の偈(ちゃのげ)——静寂の中のひとしずく
目次
麝香寒窗凝尘榻,松涛银霜冷月华。
酌酒金樽醺诗梦,醉倾风露初烹茶。
——戊戌年·夏·魏书
冬の香り、硝子の月
ひとしずくの香が、硝子のように冷たい窓辺に溶けていく。麝香(じゃこう)の微かな気配が畳に降り、遠く松林を渡る風が、銀の霜を運んできた。
金の盃に浮かぶ夢
金の器に注いだ酒は、まるで時の雫。温もりに酔い、夢に詩が舞い降りる。静けさはやがて風を呼び、露をまとった一葉が茶の湯に落ちる。
初煎、一期一会
一煎目の茶には、語らぬ想いがある。火と水の対話の中で、時は緩やかに流れ、心はその一滴に溶けていく。
西湖の岸で
この詩は、戊戌年の夏、西湖の畔で記されたものだという。風が語り、霜が詠い、そして茶が静かに物語を紡いでいる。
おわりに
一盞の茶に映るのは、月か、詩か、夢か。それとも、あなたの今日という物語かもしれない。